「またやってしまった…」
ふとした拍子に身近な人へきつく当たってしまい、あとから強い自己嫌悪に襲われる。
不安がイライラに変わって爆発し、
「なんでいつもこうなるの?」と悩んでは、さらに落ち込む。
そんな“感情の無限ループ”に、悩んでいませんか?
「穏やかに過ごしたいのに、できない」
「感情をコントロールしたいのに、うまくいかない」
そんな思いを抱えたまま、毎日を過ごすことに疲れ果ててしまいますよね。
かつての私も、そうでした。
私は精神保健福祉士として、感情を整え方・感情コントロール方法・アンガーマネメントのアドバイスをして、人が変わっていくためのサポートをしていたにも関わらず、自分に関してはてんでダメでした。
私の周りに居た同業種達も、それは同じでした。
つまり、どんな専門家であっても、理屈が理解できていても、行動に移すことや継続することは大変なことなんです。
しかし、行動している人々がどんどん変わっていくのも事実です。
私も、いつまでもサポートする側に徹するのではなく、自分自身も変わらなければならないと思い、行動を始めました。
その結果、少しずつそのループから抜け出せるようになったと実感しています。
このブログでは、私自身の実体験と心理学の知見をもとに、
・不安とイライラのループから抜け出す5つの方法
・感情コントロールが難しい理由(脳の構造)
・今日からできる、感情を整える小さな習慣
この3つの軸でお伝えしていきます。
読み終えたときには、
「すぐに行動したい」そう思える自分に出会えるはずです。
では、始めましょう。
今すぐ試せる!感情コントロール方法5選
感情に振り回される毎日から抜け出すための、今日からできる小さなアクションを5つご紹介します。
これらはすべて、心理学や脳科学の確かな裏付けがある「小さな実践」です。
心理学や脳科学何て聞くと、堅苦しくて難しいように感じますが、
パッとすぐできることばかりです。
具体的な方法とともに、根拠も書いていきますので、ご覧ください。
① 今の気持ちを声に出す
方法:
「あー、今私、イライラしてるな」「なんかモヤモヤするな」と、心の中で思っている自分の感情を、言葉にして口に出してみてください。
誰かに聞かせる必要はありません。
自分自身に聞かせるように、そっとつぶやくだけで大丈夫です。
なぜ効くの?(ラベリング効果):
感情を言葉にすることで、脳は感情を漠然とした「感じ」ではなく、具体的な「情報」として処理しようとします。
これにより、感情を客観視できるようになり、その感情に飲み込まれにくくなります。「あ、私は今〇〇という感情なんだな」と名札(ラベル)を貼ることで、感情の勢いを落ち着かせることができるのです。
これは「ラベリング効果」と呼ばれています。
② 自分に「そりゃそうだよ」と一言かける
方法:
不安になったり、失敗して落ち込んだりした時、心の中で、あるいは実際に声に出して
「そりゃそうだよ」「仕方ないよ」「疲れてるんだよ」と、自分自身に優しく声をかけてみてください。友達や大切な人が同じ状況だったら、きっとそう声をかけるでしょう。
なぜ効くの?(セルフ・コンパッション):
これは「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」と呼ばれる考え方に基づいています。
ネガティブな感情を抱えている自分を否定せず、
「そういう時もあるよね」「大丈夫だよ」と受け入れることで、心の負担が軽くなります。
自己否定のループを断ち切り、ストレス反応を和らげる効果があります。
感情の起伏は、特定の状況に対する「状況評価」から生まれますが、自分への優しい声かけは、その評価を和らげる手助けになります。
③ 感情を色やぐるぐる線で表す
方法:
ノートの切れ端や、スマホのメモ機能でも構いません。
今のモヤモヤした気持ちを、具体的な言葉にしようとせず、色や形、ぐるぐるした線など、抽象的な落書きのように書き出してみてください。
きれいに書く必要は全くありません。
なぜ効くの?(アートセラピー効果):
言葉にならない感情を視覚的に表現することで、心の中にある感情エネルギーを外に出すことができます。
これはアートセラピーの考え方に近いものです。
言葉にするのが苦手な人でも、視覚的に表現することで、感情を客観的に「見る」ことができるようになり、少し距離を置いて受け止めやすくなります。
特に二次感情(罪悪感や恥など)でがんじがらめになっている時に、頭の中を整理する手助けになります。
④ 「なんで?」を2回繰り返す
方法:
イライラしたり不安になったりした時、「なんで私、こんな風に感じているんだろう?」と一度問いかけます。
出てきた答えに対して、さらに「なんで?」ともう一度だけ問いかけます。
そこで思考を止めます。
深掘りしすぎず、2回でストップするのがポイントです。
なぜ効くの?(認知的再構成):
これは「認知的再構成」の考え方に基づいています。
感情は、特定の状況に対するあなたの「評価」によって生まれます。
例えば、「挨拶したのに無視された」→「私は嫌われているんだ」→「悲しい/怒り」のように。
2回の「なんで?」は、自動的に湧き上がったネガティブな評価を少しだけ掘り下げ、別の見方がないかを探るきっかけになります。
「挨拶したのに無視された」→「なんで?」→「忙しかったのかな?」あるいは「体調が悪かったのかも?」など、別の可能性を考える余地が生まれます。
これにより、ネガティブな評価に固執せず、感情を調整(認知の再評価)する手助けになります。深すぎる「なんで?」は自己否定につながるので、2回で止めるのがコツです。
⑤ 今日の“よかった行動”を1つ振り返る
方法:
寝る前でも、休憩時間でも構いません。
「今日、自分がちょっと頑張ったな」「これ、私にしてはよくできたな」と思える「行動」を、どんなに小さなことでも良いので1つ思い出してみてください。
「朝ちゃんと起きた」「お皿を洗った」「子どもの話をちゃんと聞いた」など、些細なことで大丈夫です。
なぜ効くの?(スリーグッドシングス):
これはポジティブ心理学の「スリーグッドシングス」を応用したものです(通常は3つですが、1つからでOK)。
ネガティブな感情にとらわれやすい時、私たちの脳は「できていないこと」にばかり目が向きがちです。
意識的に「できたこと」「良かった行動」に焦点を当てることで、脳の注意の再配分を促し、自己肯定感を高めることができます。
感情の起伏に揺さぶられている時ほど、「自分は何もできていない」と感じやすいものですが、小さな成功体験を積み重ねることで、心の土台を強くしていくことができます。
感情の起伏は生まれつきではなく、習慣で整えられる
「私って感情的な性格だから仕方ない」と、諦めていませんか?
元々の性格だから変わらない、そう思い込んでいませんか?
かつての私も、同じように考えていた時期があります。
しかし、精神科病院で年間1,000人以上の方をサポートし、私自身の経験も踏まえて気づいたことがあります。
それは、感情の起伏が生まれつきの性質だけで決まるわけではないということです。
「私なんてダメだ」とネガティブだった方も、
「この環境では変われない」と感情的になっていた方も、
少しずつ自分の感情を受け止め、うまく表現できるようになったことで、自信を取り戻し、穏やかな笑顔を見せてくれるようになりました。
そう、変われないのは性格や環境だけのせいではありません。
行動するか、しないか、それが未来を決めます。
感情の起伏と脳の仕組み
私たちの脳は、原始時代から「ネガティブ前提」で動くようにできています。
それは、命を守るため、危険を回避することを最優先するからです。
現代社会において、この「危険」の多くは「ストレス」に置き換わっています。
過度なストレスは心の病につながり、時には自ら命を絶つ選択さえ促すことがあるからです。
つまり、現代人にとって最大の課題は、いかにストレスを回避し、生き抜くかです。
人間関係が複雑な現代社会では、私たちは無意識のうちに周囲の人の目や感情を気にしながら生きています。
対面でもオンラインでも、人と関わることで不安やイライラといったネガティブな感情が湧きやすいのは、ある意味、自然なことなのです。
「私はダメだ」と感じやすいのも、出来事に対する「状況評価」がネガティブに偏りやすい脳の「クセ」のせいかもしれません。
感情の「クセ」は変えられる
しかし、安心してください。
この「脳のクセ」は、意識と行動、そして環境によって「整える」ことが可能です。
例えば、ストレスの原因となる状況そのものを避けたり(状況選択)、変えたり(状況変化)することも、感情調整の一つです。
さらに、
意識的に注意を別の対象に向けたり(注意の再配分)、
状況の意味づけを変えたり(認知の再評価)、
感情の表出をコントロールしたり(反応の調整)することで、
感情の波を穏やかにできます。
つまり、感情の起伏は、生まれ持ったものではなく、
日々の小さな「習慣」によって十分に整えられるものなのです。
普段、常に平常心を保ち、冷静に振る舞っている人々も、決して生まれつきそうだったわけではありません。
彼らはこれまでの生活の中で、今お伝えしたような「意識と行動、そして環境を整える」経験を積み重ねてきたのです。
自然とその習慣が身についた方もいれば、努力して身につけた方もいるでしょう。
何かを習得するのであれば、若い方が良い。
若い頃にやっておけばよかったと卑下をする必要はありません。
今日のあなたが一番若い。
明日になれば、また歳を重ねてしまう。
それであれば、今日始めることが得策です。
感情を整えるには、他人より“自分の感情”に向き合う重要性
感情に振り回されている時、私たちはつい外側に目を向けがちです。
- 「あの人に、嫌われたらどうしよう」
- 「こんな風に捉えられたかもしれない、取り返しのつかないことをしてしまった。」
- 「私がイライラしなければ、相手はずっと穏やかだったのかもしれない。」
でも、考えてみてください。
他人や環境や思いは、あなたから受ける影響が全てではありません。
相手の抱えている状況、感情によっても、あなたの言動や行動の捉え方は変わってしまいます。つまり、相手にこちらの思い描いている印象や返答を求めることはほぼ不可能です。
そこを意識しても、多くの場合、また同じ感情の波に飲まれるだけです。
感情を本当に「整える」ために大切なのは、外側ではなく、自分自身の内側、つまり「自分の感情」に目を向けることです。
なぜなら、感情は、出来事そのものによって引き起こされるのではなく、その出来事を**あなたがどう評価するか(状況評価)**によって生まれるからです。同じ出来事を経験しても、人によって感情が違うのはそのためです。
あなたが「あの人に嫌われた」と感じる時、問題は自分だけにあるように見えます。しかし、その感情の背後には、「自分がショックだった相手の態度」「自分がこんな態度をして欲しかったと思い描く返答」「こうあって欲しいという関係の理想」といった、あなた自身の願望、あるいは過去の経験からくる「一次感情」やそれに対する「二次感情」が隠れています。
感情を整えるとは、この「自分自身の感情の動きに気づき、それを認め、受け入れ、そして調整する」ことです。
これはまさに「自分と向き合う力」であり、この力を育むことが、感情の安定へとつながります。
他人の考えていること、環境を変えようとエネルギーを使うよりも、自分の感情に対する「反応の調整」を練習する方が、はるかに確実で早く、穏やかな日常を手に入れる道なのです。
私も変われた|サラッとビフォーアフター
私自身、心の専門家として働きながらも、子育てで日々他人軸に巻き込まれる中で、自分の感情をうまく扱えず苦しんでいました。
特に3児のシングルマザーとして、時間にも心にも余裕がなく、心身に様々な不調が現れる状態になることも起こりました。
Before:
- 毎日イライラが募り、子どもやパートナーにきつく当たってしまう。
- 夜になると猛烈な自己嫌悪に襲われ、「またやってしまった…」と布団の中で泣く。
- 感情を書き出すためにノートを買っても、3日坊主で終わる。
- どうしようもないモヤモヤは、カラオケで叫んで発散するしかなかった。
- 「私はダメな母親だ」「感情的な自分は嫌いだ」と、常に自分を責めていた。
After:
- イライラや不安の波が来ても、「あ、今、私は怒りを感じてるな」と感情に気づけるようになった。(ラベリング効果の実践)
- 夜、自己嫌悪に陥りそうになっても、「そりゃそうだよ、大変だったもんね」とベッドの中でつぶやくだけで、心が少し軽くなる日が増えた。(セルフ・コンパッションの実践)
- ノートを続けるのは難しくても、スマホのメモに今の気持ちを色や線で書き出すだけで、頭の中が整理される感覚をつかんだ。(アートセラピー効果の実践)
- 感情の波に飲まれそうな時、「なんで?なんで?」と2回だけ自分に問いかけることで、客観的に状況を見れるようになった。(認知的再構成の実践)
- どんなに疲れていても、今日の「よかった行動」を1つだけ思い出すようにしたら、「私にもできていることがある」と自分を受け入れられるようになった。(スリーグッドシングスの実践)
これらの変化は、どれも**「今日からできる小さな習慣」**を、完璧ではなくても続けてみたことで生まれたものです。劇的に性格が変わったわけではありません。ただ、感情の波に飲まれそうになった時に、自分で自分の心を「整える」ための方法を、少しずつ身につけることができたのです。
まとめ|感情コントロールは「気づく→出す→整える」の繰り返し
感情コントロールは、一度マスターしたら終わり、というものではありません。それは、**「自分の感情に気づき→適切な方法で感情を表現(出す)し→自分にとって心地よい状態に整える」**という、日々の練習の繰り返しです。
最初から完璧にできる人はいません。私も今だって、感情の波に揺られることはあります。でも、大切なのは、「またやってしまった…」で終わらせず、「じゃあ、どうしよう?」と、この記事で紹介した方法の中から一つでもいい、今やってみようと行動してみることです。
行動できた人だけが、小さな変化を実感し、それが自信となって、さらに次の行動につながっていきます。
さあ、あなたはどうしますか?
- この記事で知った方法を、すぐに一つだけ試して、猛スピードで変化のきっかけを掴みますか?
- それとも、まずは「自分を整える」という考え方を受け入れて、ゆっくりと、でも確実に、自分に合う方法を見つけながら整えていきますか?
どちらを選んでも大丈夫です。あなたに合う方法を選んで、今日から感情との関係を少しずつ変えていきましょう。
感情に振り回される日々から、自分自身を大切に整える日々へ。
もし、一人で続けるのが難しそうだな、もっとじっくり取り組んでみたいと感じたら…
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